「AIを使っているのに、成果が人によってばらつく」。そう感じたことがあるなら、原因はプロンプトの上手い・下手だけではないかもしれません。
Anthropicが公開したClaude Codeの記事では、Skills、Hooks、Rules、Subagentsなど、AIエージェントを安定して動かすための仕組みが整理されています。開発者向けの話に見えますが、噛み砕いて言うと、これはAIに仕事を任せる前に、AIの働き方を設計する話です。
この記事を読むとわかること
- check_circleClaude CodeのSkills・Hooks・Subagentsが何をする仕組みなのか
- check_circleAI活用が「プロンプト術」だけでは安定しにくい理由
- check_circle社内ルールや業務手順をAIに渡すときの考え方
- check_circle中小企業がAI活用を属人化させないための第一歩
向き:AI活用を社内で広げたい経営者・担当者
向かない:Claude Codeの設定ファイルをすぐ書きたい開発者向けの詳細手順を求める方
AI活用が安定しないのは、毎回「口頭依頼」になっているから
AIを業務に使い始めると、最初は便利です。文章の下書き、要約、調査、資料構成、問い合わせ文の作成など、いろいろな場面で助けになります。
ただ、しばらく使っていると「毎回同じ説明をしている」「担当者によって出力品質が違う」「禁止事項を伝えても抜ける」といった問題が出てきます。ここ、けっこう大事です。AIの能力不足というより、AIに渡す前提や手順が整理されていないことが多いからです。
| よくある状態 | 裏側で起きていること |
|---|---|
| 毎回長いプロンプトを書く | 会社の前提や手順が資産化されていない |
| 人によって成果物が違う | 依頼方法と確認基準が属人化している |
| AIが禁止事項を守りきれない | ルールが「お願い」だけで、チェックの仕組みになっていない |
Claude Codeが示す7つの制御レイヤー
Anthropicの記事では、Claude Codeに指示を渡す方法として、主に7つの仕組みが整理されています。ポイントは、すべてを1つの長いプロンプトに詰め込まないことです。
| 仕組み | 役割 | 業務で言うと |
|---|---|---|
| CLAUDE.md | プロジェクト全体の前提を伝える | 会社・部署の基本マニュアル |
| Rules | 条件付きのルールを適用する | 部門別・業務別の細かいルール |
| Skills | 繰り返す手順を呼び出す | 業務手順書・テンプレート |
| Subagents | 作業を別担当に分ける | 調査担当、レビュー担当、確認担当 |
| Hooks | 決まったタイミングで処理を実行する | 承認フロー、自動チェック、禁止操作のブロック |
| Output styles | 回答の形式や口調を変える | 社内向け・顧客向けの文体指定 |
| System prompt append | 起動時に追加条件を渡す | その場限りの作業条件 |
これは開発ツールの機能一覧というより、AIに仕事を任せるための整理棚です。全社共通の前提、繰り返す手順、強制したい安全策、分業したい作業を分けて置く。そう考えると、一般業務にもそのまま応用できます。
Skillsは「毎回説明している手順」を会社の資産にする
Skillsは、AIが必要なときだけ読む業務手順書のようなものです。ブログ記事を書く手順、議事録を整える手順、問い合わせメールを作る手順、レビューの観点など、何度も使う作業をまとめておけます。
Skillsの見方
「この業務、AIに頼むたびに同じ説明をしているな」と感じるものは、Skill化の候補です。AI用のプロンプトを増やすというより、社内の暗黙知を言語化して、再利用できる形にする作業です。
たとえばブログ作成なら、読者、文体、避けたい表現、SEOで見る観点、公開前チェックを毎回説明しなくてもよくなります。担当者の頭の中にある「いつものやり方」を、AIも参照できる状態にする。半年後に効いてくるのは、こういう地味な整備です。
Hooksは「気をつけて」ではなく、仕組みで止める
AIに「個人情報を扱わないで」「公開前に確認して」と伝えることはできます。ただ、本当に守るべきルールをお願いだけにしておくと、抜けが出ます。Hooksは、決まったタイミングで自動処理を動かし、危険な操作を止めたり、チェックを走らせたりする仕組みです。
業務でHooks的に考えたいルール
- check_circle個人情報を外部AIに貼り付けない
- check_circle未確認の価格や契約条件を顧客向け資料に入れない
- check_circle医療・法律・税務の判断は専門家確認に回す
- check_circle公開前の記事や資料は必ず人が確認する
こうしたルールは、プロンプトに書くことも大切です。ただし、それだけで終わらせず、チェックリスト、承認フロー、権限設定、自動検査と組み合わせる。AI活用を業務に入れるほど、この線引きが現実的に効いてきます。
Subagentsは、AIにも分業を持ち込む考え方
Subagentsは、メインのAIとは別の文脈で動く専門担当です。調査、レビュー、テスト、要約のような作業を分けることで、メインの会話を散らかさずに済みます。
| AIの担当 | 任せやすい作業 | 人が見ること |
|---|---|---|
| 調査担当 | 公式情報、関連資料、競合情報を集める | 出典の信頼性、古い情報の混入 |
| レビュー担当 | 抜け漏れ、矛盾、リスクを確認する | 会社として許容できる表現か |
| 要約担当 | 長い資料やログを短く整理する | 削ってはいけない文脈が残っているか |
人間のチームでも、1人に調査、作成、確認を全部抱え込ませると限界があります。AIも同じです。役割を分けることで、作業の見通しがよくなります。
自分の会社で使うなら、まず「同じ確認、何回してる?」を見る
Claude Codeの仕組みをそのまま導入しなくても、考え方は今日から使えます。最初に見るべきなのは、AIに毎回説明していることです。
今日やるなら、まずこれ
- 毎回AIに説明していることを書き出す
会社名の表記、文章のトーン、避けたい表現、確認項目などを並べます。 - 繰り返し業務を1つだけ手順化する
ブログ作成、議事録作成、問い合わせ返信など、1つで十分です。 - 人が確認する項目を決める
数字、日付、固有名詞、金額、会社としての見解は確認対象にします。
いきなり全社的なAI運用ルールを作る必要はありません。まずは「この作業だけは毎回同じ型でAIに頼める」状態を1つ作る。小回りが利く会社ほど、この小さな型化が効いてきます。
そのまま使える、AI向け業務手順書づくりのプロンプト
社内のAI活用ルールを整理したいときは、次のようなプロンプトから始められます。完成版を一度で作るというより、たたき台を出して人が直す使い方が現実的です。
私たちの会社でAIに任せる業務手順を整理したいです。 対象業務: ブログ記事の下書き作成 以下の観点で、AI向けの作業手順書を作ってください。 1. AIに渡す前提情報 2. AIに任せてよい作業 3. 人が必ず確認する作業 4. 禁止する表現や行動 5. 出力フォーマット 6. 最後のチェックリスト 注意点: - 誇張表現は避ける - 未確認の数字や日付を断定しない - 専門用語は初心者にもわかる言葉で説明する - 実務でそのまま使えるように箇条書きで整理する
よくある質問
SkillsやHooksはエンジニアだけが使うものですか?
直接設定するには技術知識が必要な場合があります。ただ、考え方自体は一般業務にも使えます。Skillsは業務手順書、Hooksは自動チェックや承認フロー、Subagentsは役割分担として捉えると理解しやすくなります。
まず何から整備すればよいですか?
最初は、よく使う業務を1つ選ぶのがおすすめです。ブログ作成、議事録作成、問い合わせ返信など、繰り返しが多い作業から始めると効果を感じやすくなります。
AIにルールを書けば、それだけで安全に使えますか?
ルールを書くことは第一歩ですが、それだけでは十分ではありません。個人情報、契約、金額、医療・法律・税務などに関わる内容は、人の確認や承認フローと組み合わせる必要があります。
まとめ:プロンプトを頑張る前に、AIの働き方を整える
- check_circleAIに毎回説明している内容は、仕組みとして外に出す
- check_circle繰り返す手順はSkillsのように再利用できる形にする
- check_circle絶対に守るべきルールはHooks的なチェックの仕組みで支える
- check_circle調査、作成、確認はSubagents的に役割を分けて考える
- check_circleAIに任せる部分と、人が見る部分を最初に決める
AIを導入するとは、ツールを契約することだけではありません。AIが迷わず、安全に、継続して働ける環境を作ることです。i-Styleでは、AI活用の本当の効きどころは、単発のプロンプトではなく、業務の裏側で動くルール・手順・確認の設計にあると捉えています。
まずは1つの業務からで大丈夫です。毎回AIに説明していることを、明日の自分やチームが使える形に残す。その小さな一歩が、半年後の働きやすさに効いてくるはずです。
AI活用の業務設計でお困りの方へ
i-Styleでは、AIツールの導入だけでなく、業務手順・確認フロー・社内ルールまで含めたAI活用の仕組み化を支援しています。自社サイズの一歩から始めたい方は、お問い合わせページからご相談ください。
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「自社の場合はどこから始めればよいか」「AI活用の相談内容を整理したい」といった段階でも、i-Styleサポートデスクbotに質問できます。
i-Styleサポートデスクbotで聞いてみる arrow_forward参考リンク
- 参考: Steering Claude Code: skills, hooks, rules, subagents and more(Claude / 2026年6月18日)
- 参考: Extend Claude with Skills(Claude Code Docs)
- 参考: Hooks reference(Claude Code Docs)
- 参考: Create custom subagents(Claude Code Docs)
- 参考: Agent Skills Overview(Agent Skills)
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