AI活用

紙・記録業務をAI要約で減らす方法|
介護現場の事例に学ぶ始め方

紙資料や日報を、要約・ToDo・確認表へ変える前に決めたいことを整理します

「紙の記録を読むだけで、朝の時間が終わってしまう」。現場に記録が多い会社ほど、この感覚は身近ではないでしょうか。

Microsoft Source Asia は 2026 年 5 月 19 日、オーストラリアの介護事業者 Regis Aged Care が、RegiCare Assist というAIアシスタントで日々の記録確認を支援している事例を公開しました。この記事では、その事例をもとに、介護に限らず、紙・メモ・日報が多い業務でAI要約をどう始めるかを噛み砕いて整理します。

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この記事を読むとわかること

  • check_circleRegis Aged Care のAI要約事例で何が起きているか
  • check_circle68ページのレポートを数ページにまとめる価値
  • check_circleAIに任せる部分と、人が確認する部分の線引き
  • check_circle紙・日報・記録業務で小さく試す手順

この記事の読者層

  • 向き:日報、引き継ぎメモ、点検記録、相談記録などを毎日確認している管理者・担当者
  • 向かない:個人情報や医療・契約情報の扱いをまだ社内で決めていない状態で、すぐ本番投入したい場合

Regis の事例で起きていること

Microsoftの記事によると、Regis Aged Care は 2025 年 9 月から RegiCare Assist を使い始めました。Microsoft Copilot Studio と Microsoft Foundry で構築され、ソリューションパートナー Cognizant とともに開発したAIアシスタントです。

何をしているか。ひと言で言うと、介護現場の大量の申し送りメモや経過記録を読み、臨床上の懸念や変化を見つけ、カテゴリごとに整理しています。

項目Microsoft記事で確認できる内容仕事で見るポイント
対象申し送りノート、経過記録、24時間レポート日報、点検記録、問い合わせ履歴にも近い
規模約150人の従業員、72の介護施設で利用全社一斉ではなく、用途を絞った展開に見える
目的記録確認の負担を減らし、入居者対応に時間を戻すAIの目的を「人の判断を置き換える」ではなく「探す時間を減らす」に置く

68ページが3ページになると、何が変わるのか

記事内では、ケアマネージャーが「今日の24時間レポートは68ページ」と話し、それを RegiCare Assist にアップロードすると、数分で臨床イベントの要約を印刷でき、全体像を把握できたと紹介されています。出力は3ページです。

ここで大事なのは、単にページ数が減ったことではありません。読む順番が変わることです。最初から68ページを順番に読むのではなく、AIが先に「注意が必要そうな箇所」「変化」「確認すべき点」を浮かび上がらせる。人はそこから原本に戻って確認できます。

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現場での読み替え

AI要約の価値は「全部読まなくてよい」ではなく、「どこから確認すればよいかが早く見える」ことです。最終確認を人が行う前提なら、記録確認の入り口としてかなり現実的です。

AIに任せること、人が見ること

Regis の最高看護責任者は、AIは臨床判断や意思決定を置き換えるものではなく、支援するものだと説明しています。ここ、けっこう大事です。

紙や記録のAI活用で失敗しやすいのは、「AIがまとめたから正しい」と思ってしまうことです。AIに向いているのは、大量の文章から候補を拾う、似た内容をまとめる、カテゴリに分ける作業。判断、承認、責任のある確認は人が見る領域です。

AIに頼みやすいこと人が見ること仕事で使うなら
長い記録を3行要約にする要約が原文と合っているか確認する日報の朝会用メモにする
未対応・要確認を抽出する本当に未対応か担当者に確認する引き継ぎ漏れのチェックに使う
記録をカテゴリに分けるカテゴリの基準を現場ルールに合わせる相談、クレーム、設備、体調などに分ける

安全性は「プロンプト」と「参照資料」で上げる

Microsoftの記事では、RegiCare Assist が RAG を使い、Regis の臨床ポリシーや手順の知識ベースから情報を出すよう設計されていること、さらに承認済みプロンプトをクリックで使う画面にしていることが紹介されています。

つまり、現場スタッフに毎回自由入力させるのではなく、「この聞き方なら安全に使える」という型を先に作っているわけです。AI活用は、ツールを入れるだけではなく、こうした小さな型づくりが効きます。

安全に始めるためのチェック

  • check_circleAIに入れてよい情報、入れてはいけない情報を決める
  • check_circle自由質問より、承認済みプロンプトから始める
  • check_circle社内マニュアルや規程を参照元として整える
  • check_circleAIの出力をそのまま判断に使わず、原本確認を残す

小さく試すなら、このプロンプトから

介護現場のような専門性の高い業務でいきなり使うのは、社内ルールづくりが必要です。ただ、考え方は他の業務にも応用できます。まずは公開しても問題の少ない記録や、サンプル文で練習するところからで十分です。

以下の業務記録を、朝会で確認しやすい形に整理してください。

出力形式:
1. 3行要約
2. 今日確認すべきこと
3. 未対応の可能性がある項目
4. 担当者に確認する質問
5. 原文確認が必要な箇所

注意:
- 原文にない内容は推測しないでください。
- 人名、日付、時刻、金額、症状、契約条件は必ず「原文確認」と書いてください。
- 判断や指示ではなく、確認用の下書きとして作成してください。

今日やるなら、まずこれ

AI要約は、最初から全社展開しなくて大丈夫です。むしろ、1種類の記録に絞った方が失敗しにくくなります。

  1. 毎日読んでいる記録を1種類だけ選ぶ
  2. 個人情報や機密情報を外したサンプルを作る
  3. 要約、要確認、次のアクションの3項目で出力してみる
  4. AIの出力と原本を見比べ、使える項目と危ない項目をメモする

紙メモをAIで整理する基本は、手書きメモをGeminiで整理する記事でも紹介しています。まずは「1枚の紙を要約する」くらいの小さな単位から始めると、現場の反応も見やすくなります。

この記事の用語

今回の事例で出てくる言葉を、初心者向けに整理します。

用語この記事での意味
Copilot StudioMicrosoftのローコードAIエージェント構築ツールです。会話の流れや業務シナリオを組み立てる用途で紹介されています。
Microsoft FoundryAIアプリやエージェントを構築・運用するためのMicrosoftの基盤です。記事では大規模言語モデルでAIアシスタントを動かす文脈で登場します。
RAG社内資料や知識ベースを参照しながらAIに答えさせる仕組みです。勝手な推測を減らすための工夫として使われます。

まとめ

  • check_circleRegis の事例では、68ページの24時間レポートを数ページにまとめる使い方が紹介されています
  • check_circleAI要約は「読まなくてよくする」より「確認の入口を作る」使い方が現実的です
  • check_circleAIに任せるのは抽出・分類・下書きで、判断や承認は人が見る設計にします
  • check_circle承認済みプロンプトや参照資料を整えると、現場で使いやすくなります

i-Style では、AI導入の一歩目は「派手な自動化」よりも、毎日だれかが読んでいる記録を少し軽くすることに効きどころがあると見ています。紙や日報の読み込みが減るだけで、現場の会話や確認に戻せる時間が生まれます。地味ですが、半年後の働きやすさに効いてくるはずです。

よくある質問

AI要約を初めて試すときに迷いやすい点をまとめます。

紙や日報が多い業務なら、すぐAI要約を入れてよいですか?

まずは公開しても問題の少ないサンプルや、個人情報を外した記録で試すのがおすすめです。現場の記録には氏名、健康情報、契約情報などが含まれることがあるため、利用サービスのデータ管理と社内ルールを確認してから進めます。

AI要約で一番確認すべき情報は何ですか?

人名、日付、時刻、症状、金額、対応状況など、間違えると判断に影響する情報です。AIの要約は下書きとして扱い、重要な判断は必ず原本と人の確認を通します。

RAGとは何ですか?

社内マニュアルや規程など、決められた資料を参照しながらAIに答えさせる仕組みです。この記事では、AIに自由に想像させるのではなく、確認済みの資料に寄せて回答させる工夫として紹介しています。

最初の一歩は何から始めると安全ですか?

1種類の記録だけを選び、「3行要約」「要確認事項」「次の担当者に渡すメモ」のように出力形式を固定して試すのが現実的です。うまくいったら対象書類を少しずつ増やします。

参考リンク

AI要約の始め方を相談したい方へ

i-Style では、AIツールの選定だけでなく、どの記録から始めるか、どこを人が確認するか、社内ルールをどう作るかまで一緒に整理しています。紙・日報・問い合わせ履歴の整理で迷う場合はご相談ください。

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