AI活用

Copilotを社内に定着させるには?|保険会社事例に学ぶAI導入の教育とガバナンス

「Copilotを入れれば、自然にみんな使うようになる」。そう考えたくなります。けれど、現場ではもう少し地味な準備が効きます。誰が使い方を教えるのか。どこまでAIに任せてよいのか。出てきた答えを誰が確認するのか。

Microsoft Source EMEAでは、スロベニアの保険・金融グループ Zavarovalnica Triglav における Microsoft 365 Copilot 導入事例が紹介されています。ポイントは、AIそのものより「人が操縦する体制」です。この記事では、その事例を中小企業向けに噛み砕き、Copilotや生成AIを社内に定着させるための教育とガバナンスを整理します。

この記事を読むとわかること

  • check_circleCopilot導入で「人が操縦する」考え方がなぜ大事なのか
  • check_circledigital mentorsを中小企業サイズに置き換える方法
  • check_circleAIに任せやすい仕事と、人が確認すべき仕事の分け方
  • check_circle社内ルール・教育・オンボーディングから始める具体ステップ

向いている方: Copilotや生成AIを社内導入したいが、社員教育・情報管理・定着方法で迷っている方。

向かない方: Copilotの細かな操作手順やライセンス比較だけを知りたい方。

事例の中心は、AIではなく「操縦する人」だった

Microsoftの記事で印象的なのは、タイトルにもある「There is no Copilot without the pilots」という表現です。Copilotはpilotではなく、あくまでco-pilot。つまり、横に座る補助役です。誰かが目的地を決め、危ない場面では止め、結果を確認する必要があります。

Microsoft事例で確認できること中小企業に置き換えると
125年以上の歴史を持つ、規制の厳しい保険会社での導入情報管理が必要な会社でも、内部利用からなら始めやすい
5,000人超の社員には当初警戒感があった「便利そう」だけではなく、不安を拾う説明が必要
40人のdigital mentorsがCopilotとagentsを支援まずは1〜2人のAI相談係を決めるだけでもよい
proper governanceのもとでagent作成・展開を管理触ってよい情報、外に出してよい情報を先に決める

digital mentorsは、大企業だけの話ではない

Triglavでは、40人のdigital mentorsがCopilotとCopilot agentsに関する知識を現場へ広げています。中小企業が同じ人数を置く必要はありません。大事なのは、IT担当だけが抱え込まないことです。

中小企業サイズの「AI相談係」の役割

  • check_circle会議メモ、メール下書き、社内FAQなど、最初に試す業務を決める
  • check_circleうまくいったプロンプトや使い方を、社内の短いメモに残す
  • check_circle「これはAIに入れてよいか?」の相談窓口になる
  • check_circle失敗例も共有し、AIを過信しない空気を作る

ここ、けっこう大事です。AI導入は「ツールを知っている人」が1人いるだけでは進みません。各部署の仕事を知っている人が、自分の現場で「これなら使える」を見つけるほうが定着します。

最初は外部向けではなく、内部業務から始める

Microsoftの記事では、TriglavがCopilotを外部パートナー向けには使わず、内部利用とプロセス支援に集中していることも紹介されています。これは中小企業にとって現実的な始め方です。いきなり顧客対応を自動化するより、社内だけで完結する仕事のほうが検証しやすいからです。

AIに頼みやすいこと人が見ること仕事で使うなら
会議の文字起こしから要点とToDoを出す担当者名、期限、決定事項が合っているか会議後5分で確認する運用にする
社内ルールや手順のFAQ化古いルールを答えていないか更新日と責任者を明記する
クレーム・問い合わせ対応の下書き相手の事情、契約、金額、言い回し顧客送信前に必ず人が読む

成果が出た業務ほど、人の確認を残す

Triglavの事例では、顧客から苦情があった際の法務チーム向けドラフト作成が、数時間から多くの場合5〜10分に短縮されたと紹介されています。かなり大きい成果です。ただし、これは「法務判断をAIに任せた」という話ではありません。下書きや整理を速くし、人が判断する時間を残す話です。

lightbulb

導入効果を見るときの読み筋

「何分短縮したか」だけでなく、「短縮した時間で人が何を確認できるようになったか」を見ると、AI導入が単なる時短で終わりにくくなります。

今日やるなら、まず社内向けの小さなルールを作る

Copilotや生成AIを入れる前に、分厚い規程を作る必要はありません。まずは1枚で十分です。「何に使ってよいか」「何を入れてはいけないか」「誰が確認するか」を書き出すだけで、現場は動きやすくなります。

社内AI利用ルールのたたき台

1. 最初に使う業務
- 会議メモの要約
- 社内手順の検索
- メール・案内文の下書き

2. 入れてはいけない情報
- 顧客の個人情報
- 契約金額、口座、決済情報
- 未公開の経営情報

3. 人が確認すること
- 数字、日付、名前
- 顧客に送る文章
- 法務、契約、金額に関わる内容

4. 相談先
- AI相談係: 〇〇さん
- 判断に迷う場合: AIに入れず、先に相談する

よくある質問

Copilotは契約すればすぐ社内に定着しますか?

契約だけでは定着しにくいです。Microsoftの事例では、40人のdigital mentorsが現場に知識を広げ、使い方を支える体制が紹介されています。

中小企業でもdigital mentorsのような役割は必要ですか?

人数は少なくて構いません。最初は1〜2人のAI相談係を決め、会議メモ、社内FAQ、文章下書きなど小さな使い方を共有するだけでも始められます。

規制業種でなければガバナンスは不要ですか?

不要ではありません。顧客情報、契約、金額、外部送信、公開作業などは、業種を問わず人が確認する線を先に決めておくほうが安全です。

最初のCopilot活用は何から始めるとよいですか?

社外に出ない内部業務から始めるのがおすすめです。会議の要点整理、オンボーディングFAQ、社内手順の検索、下書き作成などが試しやすい入口です。

まとめ

  • check_circleCopilot導入では、AIそのものより「操縦する人」の設計が効いてきます。
  • check_circle大企業のdigital mentorsは、中小企業では1〜2人のAI相談係に置き換えられます。
  • check_circle最初は外部向けではなく、会議メモ、社内FAQ、手順整理など内部業務から始めるのが現実的です。
  • check_circle時短できた業務ほど、人が数字・日付・名前・判断を確認する流れを残します。

i-Styleでは、AI導入は「すごいツールを入れること」より、「半年後も現場で使える型を作ること」だと捉えています。Copilotという名前の通り、AIは副操縦士です。自社サイズのpilotをどう育てるか。そこから始めるほうが、結果的に長く効くはずです。

AI導入の社内ルールを、小さく整えたい方へ

Copilotや生成AIの導入は、ツール選定だけでなく、社内ルール、教育、確認フローまで一緒に設計すると定着しやすくなります。i-Styleでは、中小企業の現場に合わせたAI活用・業務自動化のご相談を受け付けています。

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